ヒダのオセッカイは、諸般の事情により2024年1月をもって生産を終了とさせていただきます。

これまでのご愛顧に感謝申し上げますとともに、何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。

 

 

お節介の元の言葉となった言われる (*諸説あり) 調理道具です。漢字で、切匙 / 狭匙(せっかい)と書きます。切匙が溝の内まで入り込むことから、他人の内に入りこもうとすることを「おせっかい」と言うようになった説が有力とされています。昔の味噌は、味噌桶から出した味噌をすり鉢で擦ってから、味噌を溶かしていました。すり鉢の溝や、味噌桶の縁にこびり付いた物を掻き落とす道具として使用されていましたが、時代と共に消え去りました。現代の生活でもお使いいただけるように少し改良し、味噌を取り分ける際にご使用ください。また、カレーやシチューを作る際に、直線部分を使って鍋の縁に付いたものを掻き落としたり、料理やお菓子作りなどで使うボウルの内側に付いたものを掻き落としたりできます。材料は、抗菌作用にとても優れているホオノキ材の芯材部分のみを使っています。プラスチック製やシリコン製などのヘラとは違って木製で無塗装なので安全にお使いいただけます。

 

 

制作にあたって

 

木杓子のことを文献や資料などを調べていると、見慣れない調理道具が説明と挿絵が描かれていました。それは匙の一つだそうで、江戸時代、味噌屋の絵看板は切匙をデザインしたものが多く使われています。現在でも昔から続く味噌屋さんの看板は、切匙を使われているものを見掛けることができます。しかし、絵では描かれていても、実際に資料館などで現物を見たことがなく、形やサイズなど、どのような物なのか全くわからずのままでした。形にして使ってみたく、何となく作ってみたものの、手にしっくりこず日時が経っていました。ある日、友人から連絡があり、民間の資料館が閉鎖となるとのことで価値がない物は処分される前に、杓子ばかりが入ったダンボール箱を引き取ってくれていました。後日、ダンボール内を覗くと、掬って使う調理道具がたくさん入っており、一つ一つホコリを払っていたら、思い描いていた切匙のような物が入っていました。とりあえず切匙のような物と、同じサイズで制作してみました。それを手作り味噌を容器に移し替えるときに使ってみると、使いやすく、現代の生活でも使用できそうなので少し改良して制作しました。また、“お節介”という言葉や“切匙で腹を切る”ということわざで使われている点も面白く、商品化してみました。 

 

 

 

商品ラインナップ

 

・大サイズ / 約 L:27cm, W:6.0cm

・小サイズ / 約 L:18cm, W:4.0cm

 

 

 

材料・塗料について

 

ホオノキ(飛騨産) / 無塗装

 

 

 

工法について

 

鉈、出刃包丁仕上げ。表面に鉈の削り痕が残っています。

 

 

 

ホオノキについて

 

主な材料は、地元の山で木の成長が遅くなり、水の吸い上げが弱まる冬季に伐りだされた良質なホオノキを使っています。ホオノキは比較的軟らかく、狂いも少ない木材なので、生木の状態で切削加工しやすいため手加工での制作に向いています。ホオノキはモクレン科の落葉樹で、飛騨地方では5月中旬~6月にかけて大きな花が咲きます。葉も大きく、殺菌作用があるため、飛騨近辺では郷土料理の朴葉寿司や朴葉餅に使われています。また、秋に落ちた枯れ葉は山菜や味噌を混ぜた朴葉味噌のお皿としてホオノキは、飛騨では欠かせない大切な木であります。樹皮は漢方薬、炭は漆器や金銀の研磨剤、灰は陶器の釉薬で使われています。木を割れば芯の部分(芯材)が灰緑色で、周り(辺材)は灰白色ですが、このような芯材、辺材の境界は明瞭でハッキリしている木材は珍しく、狂いが少ないうえ、刃先を傷めない為、まな板や日本刀の鞘、下駄、版画用の板に使われているのは有名ですが、麺棒、建具や高級家具、漆器の元にもなっています。新しい杓子を作ることによって森に生えているホオノキを伐採しますが、伐採することによって森林の整備・保全にも役立っております。

 

 

 

品質について

 

・やさしい

繊維が緻密なホオノキで作っているので、手触りもよく、手によく馴染み、木材のやさしい感じが伝わってきます。使われる度に風合いも増してきます。

  

・掻き落としやすい

先端の直線は、鍋の内側にこびり付いたのを掻き落としやすくし、曲線は湾曲したものにこびり付いたものを掻き落としやすく加工しています。

  

・嫌な音が出ない

軟材のホオノキで作っているので、ホーロー製の味噌容器や金属製の鍋などに当てても嫌な音が出ず、傷も付きにくくなります。

  

・環境に優しい

使い古して新しく買い換える際、木製で無塗装ですので燃やしても有害ガスは出ないのはもちろん、大気中の二酸化炭素を増やしません。

 

・安心安全

無塗装品なので、塗料の膜も無く塗料の溶出の心配もございません。直接、食材に触れても安全です。

 

・優れた抗菌作用

天然の抗菌作用に優れたホオノキの葉と同じ成分が芯材部分にもあり、油分も多いので水に強く水切れもよいです。

 

 

 

お取扱いについて

 

◎ご使用前に水に濡らし、水気を切ってからご使用になると、色移りや食材の付着が少なくなります。 ◎ご使用後は、軽く洗って自然乾燥させてください。 ◎食材が、こびり付いた場合は少しぬるま湯に浸し、植物性のタワシで落としてから完全に乾かして収納してください。

 

 

 

ご注意事項


◎天然の木材を使用しているため、それぞれの木肌の風合いが異なります。 ◎変形や割れの原因となりますので風通しの良いところで保管してください。 ◎落としたり硬いものにぶつけると欠けや割れなど起こる場合がございます。 ◎無塗装のため、使い込むほど、どうしても色移り・油染みができます。表情や質感の変化は味わいとしてお愉しみください。

 

 

 

ロゴマークについて

 

切匙 / 狭匙の女房詞はウグイスだそうで、そのウグイスを切匙の形に当て嵌めてデザインしてみました。使用する色は、日本の伝統色である鶯色と鶯茶を使っています。

 

 

 


✳︎作品はすべて、奥井木工舎のオリジナルです。デザインや意匠は著作権で守られており、デザインの複製、転載、二次加工など、その他一切に関する全ての複製を固く禁じさせていただきます。デザインなど複製し、勝手に販売した場合などは法律により罰せられることがありますのでご注意ください。